生きて帰るためのサバイバル軍用GPS garmin FORETREX 401【レビュー】

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まとめ
■最強の軍用GPS機
■使いこなせばこれほど役に立つモノはない
■登山者必携



先日カシオのGPSレンジマンを購入ましたが、そのあまりの出来の悪さに驚愕し、新たなサバイバルGPSを探そうと決意を固めて手に入れたのが今回紹介するガーミンのFORETREX 401/英語版となります。

もともと軍用みたいなGPSで、探せばあちらこちらの戦場で兵士がこの401を身につけているのが確認できます。

発売からもう数年経過しているのでだいぶ「古い」GPSなのですが、今回はいろいろと考えるところがあったので「登山専用」という事で見直しています。


こちらの401は単4電池2本で公称17時間稼働するモノクロ液晶画面のミリタリーGPSです。

詳しく見ればいろいろとスペックが過去のモノなので時代遅れ感があるとはいえ、登山での必要最低限の機能は網羅されていて、むしろこの割り切り方がプロスペックだと考えられます。

例を挙げればグロナス非対応ですし、マルチスポーツに対応した機能は未実装、今どき完全なGPS専用のシステムとなっています。

ただ敢えていうのならANT+には対応していますので、自転車用のケイデンスセンサーと心拍計は使うことができます。

モノクロ画面なので当然のことながら「地図表示」も不可で、内蔵メモリーにストックできるルート数もわずかに20本と少なく、ちょうどetrex10の様なトラックログを取るかあらかじめ作成しておいたルートに沿って進行方向と道迷いを判定したりするという限られた使い方しかできませんが、よく考えてみれば「登山」においてはこれでも「生きて帰る」という目的を達成する為には必要にして十分ではないかと考えた次第です。

ちなみにetrex10はAmazonで1万ちょっとの価格ですが401の方は2万程度になっています。
発売からだいぶ経過しているのでこれでも当初よりも確か半額近くにまで価格が下がっているので十分にお買い得感があると思います。

しかもetrex10と違い「大気圧高度計」と「電子コンパス」が内蔵されている分、確実にアウトドアにおける機能は優れています。

というのも気圧計がないと高度は大幅に狂うので登山では必須であること、また三軸ではありませんが電子コンパスがあるのとないのとでは天と地の差が出ることが挙げられますので、実使用での最低限のスペック搭載はこちらの401だと考えられます。

更に言いたいことはこの401は「劇的に軽い」という事です。

わずか87グラムの本体なので腕時計並みの軽さとなっていることは注目に値します。

ちなみにG-SHOCKのレンジマンが93グラムなのでそれよりも軽いとは特筆すべきです。

【401の使い方 登山編その1】

あらかじめルートと周辺の目印をウエイポイントとして作成しておいてそのルートに沿って目的地までの距離と方角を確認しながら進むという使い方です。

【401の使い方 登山編その2】
ルートを作り忘れた場合などは、出発点からトラックログを記録していき、いざという時にトラックバックで来たルートを目安に引き返すと云う使い方です。

【401の使い方 登山編その3】
バッテリーなどを温存していざという時のみ使うやり方です。
出発地点や分岐など、要所要所でのみ電源を入れてポイントを登録しておき、いざと言うときにはその目印となるポイントを頼りに帰還する、と云う使い方です。

この使い方であればかなりの長期間に渡って記録を取り続けることができ、またモノクロ画面上で周囲のポイントを把握することでおおよその帰還ルートを決めることも可能です。

記録した緯度経度情報などにもアクセスできますので別途マップポインターなどを使用して現在位置を地図上で特定するためだけにも使うことが出来ます。

スマホがあれば緯度経度データから現在地を即座に地図上に表記できます。

ちなみに3のやり方で都度電源入れる程度ならもしかすると月単位でバッテリーは持つかもしれません。

だいたいこの三つが401を登山で活用するための現実的な使い方となりますが、どの使い方でも「目的地に生きて帰る」ということならその役目を十分に果たします。

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401の衛星受信状況。注目は右端の19番。これはみちびき194番だと思われます。
以下にこの日のGPS状況を掲載しますが、GPS19番はありません。
日本の194番が真上に滞空しています。
WAASがONなのでバーグラフにDマークが点灯し、位置誤差を補正しています。
精度は401が5メートル。ETREX touch35が3メートルです。

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【401のGPS性能について】
高感度チップを実装とのことですがグロナスやガリレオには非対応です。
ですが、WAASには対応していますので、GPS補強信号で精度を高めての使用が可能となっています。

ようするにアメリカのGPSのみ対応ですが、自宅にて比較する限り登山においては十分な精度が得られているようです。

401の精度に関しては先日の登山テストでは極めて良好な結果を残し、ほぼガーミンのパッチアンテナのハンディタイプと同レベルの受信性能を持っていることを確認しました。

正直、少し劣るかと心配もしていましたが、杞憂であったようで、山間部での使用ではほぼ同じ性能であると結論づけても良いでしょう。

ちなみにどうも確認する限り「みちびき」に対応しているようです。

【401の機能性について】
余計な機能はありませんが登山やサバイバルに特化した性能を実現しています。

もともと登山では必要な機能は限られていて、最新のマルチスポーツに対応したgarminのウオッチタイプGPSなどは完全なオーバースペックでほとんどの機能が使うことがない、とは言えます。

そのおかげで逆に操作が複雑化しているのが現状だったりします。

そんな中でこちらの401は必要な機能のみに絞って軽さとシンプルな使い勝手を追求したGPSです。


【メリット】
■トラック及びルート表示
■高度を正確に把握するための大気圧高度計
■電子コンパス
■目印の緯度経度情報の登録と画面上での確認
■サクサク動く画面と処理速度
■リチウム電池が使用可能
■みちびき対応
■モバイルバッテリーでの使用も可能

【デメリット】
■ルートの内蔵メモリ本数が20本と少ない
■ルート作成時のポイントが499以下と制限されている
■電子コンパスが三次元ではないのでコンパス使用時に水平にする必要がある。
■電源をいきなり落としたログは保存されているがその場で閲覧できない


【FORETREX 401の設定について】

個人的な推奨設定の大事な点のみ書いておきます。

メニューから
GPS→WAAS ON
UNIT→MAP DATUM→WGS84
tracks→recording ON
tracks→record interval AUTO
tracks→resolution→lowest


トラックのレコーデングをONにすると、電源オンと同時にGPSで衛星を捕らえた瞬間から自動的にログを記録します。

この401の最大の特徴でもあるのですが、明示的にGPSをONにして記録を開始する必要はありません。

この機種でログを取得するのはある意味電源オンで全自動です。

つまりこの401は電源さえ入っていれば必ずログが記録されていることになります。

この確認は画面左側の衛星マークが点滅なら衛星探索中、点灯ならログ記録中、非表示ならGPSレコーディングがオフと分かりやすくなっています。

電池持ちを優先して自動でログ取得をしたくない場合は設定項目からレコーディングをOFFにするしかありません。

逆に言えばこの機能を明示的にオフにしない限り401でログは強制的にどんな時も記録し続けるということです。

ただ完全なサバイバルで無い限りあまり意味は無いので、レコーディングはONにしておくべきだと思います。
こうしておけば電源オン=GPSトラック取得開始と分かりやすいので電源が入っていればトラックを位置情報を得られていることになります。

また他のgarminハンディ機と同じくresolution/トラックログ取得頻度は「lowest/最低」に設定して試してみてください。

これにより若干のバッテリー持ちが改善することと、odometer/GPS計測による距離の値の正確性が増します。

【ルート作成について】
ヤマレコの山行計画でルートを作成しましょう。
ビッグデータとなっていますので正確性が違います。

GPXでエクスポートして401に取り込みましょう。

【残念な点】
電源オンで自動的にログが記録されますが、このログを明示的に保存しない限り、「その場で閲覧」する事ができません。

どうしてこういう仕様なのかは分かりませんが、非常に大事な点なので書いておきます。

もちろんログは「保存」されていますので「喪失」する事はありませんが、現地で閲覧できないという恐るべき仕様となっていますので注意が必要です。

具体的に例を挙げます。

登山中に間違ってトラック記録を保存せずに電源を落としてしまったとします。

この場合、これまでのログは本体内に記録されていますが、なぜかトラック項目に表示されません。
つまりPCに接続してBASE CAMPなどのソフトを使わないとログを見ることができません。

電源を落とす前にキチンとトラック項目から保存したログはその場で閲覧できます。

ですので、登山中はいきなり電源を落とさずに必要な場面で必ずログを保存してください。

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【実戦投入の結果】
今回はあらかじめ作成したルートに従って確認しながら歩くという最も基本的な使い方で確認しました。

結果として「非常に良好」だったと結論づけます。

GPS性能はハンディタイプと遜色なく、登山中はほぼルート画面を表示させたままトラック画面を拡大縮小させて残り距離やルートの方向を確認しながら登りました。

休憩中にのみ高度などをチェックしましたが、手元のレンジマンとほぼ同一高度を表示していましたのでまったく問題ない性能だと言えます。

【FORETREX 401まとめ】

こういったモノクロ画面の地図なしGPSを今まで避けていましたが、今やスマホのGPSがかなり優れていますので、401をメインにしてスマホをバックアップに使うと云うように考えると、401のようなシンプルなGPSが「活きてくる」時代になったのかもしれません。

この401はいちいちロックを解除する必要もなく、シンプルなので動作も非常にキビキビしていて、画面の見やすさは最高レベルです。

発売から年月が経過していることもあって価格も納得いくものであり、登山使用での余計な機能は一切無いので操作もかなりわかりやすい部類に入ります。

昨今のGPSは付加価値を付けるために高機能化している分、すべての機能を使いこなせる方はほぼ居ないのではないかと言うくらいには複雑化しています。

ですが登山やトレッキング程度ではこのような複雑さと余計な機能の多くは必要ありません。

そしてこの401は登山などに必要な機能をシンプルに追求したものであり、まさに「生きて帰ることに特化したGPS」だと言えます。

使えば分かりますが特にルートを設定して距離や進行方向を確認しながら使うと絶大な威力を発揮します。
またルートを設定せずに使用してもいざという時にトラックバックして来たルートを引き返すことにも使え、登山口や要所要所でウェイポイントを登録しておけば帰るべき方向もおおよそ分かります。

腕時計タイプなのでまるで時計を見る感覚でルートの確認と残り距離を確認することが出来、軽くてバッテリー持ちも良いので使いやすさも最高峰です。

購入前は3軸コンパスではないので歩きながら進行方向まで確認できないのではないかと思いましたが、実使用では特に問題なく、方向を確認したいときだけ水平にするか、もしくは他のコンパスと併用すれば十分です。

僕の場合はレンジマンと一緒に使う事で高度とコンパスはレンジマンに任せてしまい、401は主にルートの確認に絞って使っています。

ルート表示はトラックアップではなくノースアップで使うので画面を北に向ければ向かうべきルートの方向は分かりますので都度コンパスで確認した北方向へ画面ごと向けてしまうだけです。

今回はgarminのForetrex401を手に入れましたが予想以上の出来映えで、登山には必ず持って歩きたいほどの機能と性能を達成し、それを両立させていました。

これは自信を持ってオススメしたいと思います。

by カエレバ



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コメント

通りすがりのガーミン使い

登山用として
私もこれ所有しています。必要にして十分、ということだと思いますが、登山用なら、やはり地図くらいは表示できるものの方が安心感はあります。歩き回った軌跡を残す目的ならこれで十分なんですけどね。レンジマンがあればこれはいらないかなぁ。逆もしかり。これからgps 端末を買おうかなという人には、etrex20以上の機能があるものをチェックされれば、いざという時困ることはないでしょう。あ、スマホあるからそこまでいらない、というのは論外です。

luna-luna

Re: 登山用として
通りすがりのガーミン使い さま

401を所有ですか。僕も色々使いましたが、確かにおっしゃるとおりで慣れていない方は地図付きの方が安心感はありますね。
ただ今はスマホがあるので昔のように「必須」かどうかは疑わしいかもしれません。
実際のところ、garminにいよネットが本体に吸収されてしまったようにGPS単体は今後は厳しいかもです。
ほとんどの人にとってスマホで十分というのが事実でしょうし。

僕の環境だとレンジマン・401・スマホ・ETREX touch35ですが、ETREX touch35はもういらないかなぁ、というのに傾いてます・・・。
非公開コメント

luna-luna

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