ベルマークで全校生徒を恐怖のどん底に叩き込む


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人類はこの日思い知った、靴屋の恐ろしさを。

中学1年のある日のこと、先生がベルマークを集めてくるようにと僕たちに向かって宣言した。

だが僕はベルマークなど集める気はサラサラないのである。
そもそもベルマークなどチマチマと切り取って貯めておくことなど僕の性格から言うとほぼ不可能に近い。

すこし話は脱線するが女性の中にはなぜか裁縫とかビーズで何かを作るとか、訳の分からない細かな作業を得意としている人が多く居るが、もう考えられないのである。

一時期流行った携帯をクリスタルのラインストーンでデコレートするとか、5粒ほどやった段階で携帯を窓から投げ捨てるほどイラッとくる作業である。

僕にとってベルマーク集めとはそれと同レベルの苦手とする作業だった。

なのでベルマークを提出する日になって僕が学校に持っていったベルマークは5点ほどだったりする。

「こんなチマチマした作業はやってられん」

と云うのが正直な感想である。

ところが中にはベルマークを集めてこいと言われれば何かのゲームのようにベルマークを集めてくる真人間のような人も居るわけで、そういった人々の競争意識を煽りながら学校のベルマーク事業は成り立っている。

ベルマークを僕が学校に提出してからしばらく経ったある日のこと。

先生がベルマークのトップ5を発表するという。

全学年合同なので1年から3年まで全員の中で選ばれたベルマークの達人(プロ)が発表されるわけである。

5位 3年何組の○○さん420点!
4位 3年何組の○○さん525点
3位 2年何組の○○さん680点
2位 3年何組の○○さん750点

と云う感じで続いていくが、みんな来年は頑張れば順位が入れ替わると云うくらいの接戦になった。

そして、遂に1位の発表である。

先生は一呼吸置いて発表した。


1位 1年4組のA島さん! 14000点!!!


驚いた。

もうぶっちぎりのダントツなのである。

戦闘力53万なんていうレベルでは無く、パソコンゲームなら「あいつはチーター」と言われて不正を疑われるレベルのベルマーク点数なのである。

何処をどうしたら14000点などというとてつもないベルマークを集めることが出来るのかもう分からないのである。

一般家庭なら家族総出どころか一族総出でベルマークを集めたって到達できる数字には思えない。
実力が違いすぎてもはや戦う意欲を失うレベルの点数である。

ザワつくクラスを後に先生は満足げに去って行ったのだが、残された一同はもうその話題で持ちきりである。

だいたいA島さんて誰だ?

となったのだが、よく思い出せないのであり、なんとなく「そんな人居たな」というレベルの女の子なのである。

次の休み時間にそのA島さんの顔を拝ませて貰おうと数人で画策してそのクラスに向かったのだが、見ればとても地味な女の子で、話をしたこともなければ見て数分もすれば忘れてしまうくらい存在感のない子なのである。

アニメの中では生徒会が大活躍するが、現実の世界では生徒会などゴミの集まりに近いのであるが、そんな生徒会の片隅に聞いたこともないような役職に居そうなくらい影が薄い女の子だったのである。

どうしてあんなに地味な女の子があの数字を叩きだしたのか誰も分からなかったのだが、数日もすると情報が入ってきた。

あの女の子は靴屋の娘だったのである。

つまりこう言うことだった。

あの次元を超越したベルマークは基本的にどうも靴の空き箱から集めてきたようだった。
それにプラスして一家の食料品などに描かれているベルマークを切り取って集めたのだろう。

ただそれにしても凄い数字でもはやベルマークを集めることを生活の一部としなければ到達出来る数字では無いような気がした。

結局、この騒動の後に彼女の名前は「靴屋」とよばれるようになり、毎年ベルマークを提出する季節になると「今年も靴屋だな」という話題が合い言葉のように飛び交うことになった。

中学生の3年間に結局この靴屋に勝てる人は誰も現れず、僕などはいまでもベルマークを見ると「靴屋」しか思い浮かばない人間になってしまったのだった。

しかもこの靴屋のせいで、毎年毎年頑張ってベルマークを集めて順位を競いそれを楽しみに生きてきたであろう人間達の夢や希望までも根こそぎ奪い取ったので、もはやあのベルマーク集めはある種の犯罪ではなかったかと思い出すのである。




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