【レビュー】GARMIN GPS時計 INSTINCTと登山

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ガーミンのGPS時計と云えば初代FENIXから2本ほど、foretrexを入れれば都合4本ほど使ってきた。
最近はGPSはスマホで十分という考えがあるので、ハンディタイプはすべて処分してしまったが、やはりGPSはスマホとどう共存していくかという点が最も重要なことだろう。

ガチガチの冬山に行く本格的な人でもなければもはや専用GPSの存在意義はほとんど無い。

腕時計タイプも見切ったと云えば見切ってしまった。

マニアの僕ですらforetrexを導入したのはスマホではあり得ないバッテリー持ちの良さを優先したからだ。
そうでなければforetrexですら必要とは言えないかも知れない。

それが昨今の登山用GPSというものである。

しばらくは軍用GPSであるforetrex601で満足していたのだが、先日、ふとガーミンの腕時計タイプのGPSを物色していたら、いつの間にかに進化していたので驚いた。

心拍計から歩数、睡眠計などのいわゆる活動量計機能が実装されて、日常的にスマホにデータを蓄積できるようになっている。この分野はFitbitが先行してるが、ガーミンも本腰を入れてきたようだ。

こうなるとただの時計ではなく、日常的に様々なデータを蓄積する為のガジェットとなるわけだ。Apple Watchなどを見ていても今後の時計の進化は既に単なる活動量計を超えて、身体のデータをまるごと蓄積し分析、それを健康に活かす方向に進んでいることは間違いない。

ガーミンもこの分野で製品を投入していたが、やっと時計機能と統合し、新たなシリーズとして販売しだしたようで、最近の時計型GPSは過去の製品とは違い、大きく進化発展したものだと云える。

こうなるとデータを日々蓄積して比較検討するために一日中時計を付けておく必要があるので、活動量計を制するものは時計を制すると云っても過言ではないだろう。実際に使ってみれば分かるが心拍データをリアルタイムで把握でき、1日どれくらいの睡眠を取ったのか蓄積され、更には浅い睡眠か深い睡眠かという睡眠の質まで判定できる。歩数計もスマホと違って常に腕に付けているので自宅内での移動も含めてかなり正確に1日の歩数が把握でき、それもすべてスマホアプリに蓄積される。

僕たちがかつて「時計」として認識していたものが、既に統合された形で新しいデバイスとなりつつあるわけだ。そんな新しい時代が幕をあけているというのにカシオは例えば電波時計。いまだにカシオはこんなものを販売しているが、GPSつきの時計ならいつでもどこでも瞬時に正確な時刻に修正されるわけで、この便利さがあれば電波時計などもはや過去の遺品で意味が無いと云える。

ガーミンの時計はすべてスマホアプリのガーミンコネクトを通してスマホと繋がるが、これも何年もかけて機能や安定性の磨きをかけてきたので、カシオアプリのゴミすれすれの絶望的な不安定さやまったく役に立たない代物とは訳が違う。

と云うわけで新しいガーミンのGPS時計は従来のABC付き時計にプラスして活動量計が実装され、新たな段階に進化している。それもinstinctではかなりの精度と実用性を持って登場したといえる。

ここではこれまで色々な人がレビューしているinstinctであるが、それぞれの機能は任せるとして、登山使用に特化してその機能を見ていきたいと思う。


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専用のオフライン地図アプリexplolerのマップ画面。
GPS稼働時のトラックログがリアルタイムで表示可能。


【instinctと登山】

欠点らしい欠点がないとも云えるすばらしい出来映えの時計で、この手の多機能時計にありがちな「不安定さ」もほとんど感じない。もしこれをカシオが販売していたら「スマホアプリ」がまったく実用にならず自沈していたと思うのだが、その点は長い歴史のあるガーミン、さすがである。

最新版のアプリと時計側に最新のファームさえ入れておけば動作はほぼ鉄板。初期の頃にはBluetooth周りで若干の不安定さがあったがそれも随分と良くなっていて、実用上の問題は少ないと云える。

それで「欠点」といえば思いつくのはたったひとつしかない。

とにかくバッテリー持ちだ。

公称ではGPS稼働時に14時間とのことであるが、どう使っても14時間は持たない。ちなみに僕の場合、外部センサーの温度計と双方向衛星通信システムのinreach miniを接続している状態なので、おそらくそのあたりが絡んでいるのだろうと思うのだが、この状態で「おおよそ12時間」が限界である。

ただし、この限界時間を超えると突然時計がオフになるので、それまで蓄積していたデータは本体で閲覧することは出来るのだが、どういうわけかスマホ側で取り出せなくなる。おそらく一種のバグであろうと思うのだが、この時計はスマホアプリと接続することにより、オフラインで地図表記とトラック閲覧などができるので、登山などの現場でそれが「不可能」という事になると使い勝手が極端に落ちる。

この為、登山などのクリティカルな使用では、各自の使い方や設定や外部機器での「最大バッテリー持続時間」を確実に把握しておく必要がある。
先にも述べたとおり、僕の状況では約12時間なのだが、だいたいおおよそそこからマイナス2時間余裕を見て実稼働は10時間ときめている。

もちろんバッテリーの状況もグラフで見られるのだが、これが五段階のバーグラフなので「ザックリ」しかわからない。メモリバーがゼロになってもそこから結構数時間くらいは粘るのだが、いつ落ちても不思議ではないので、この状態になれば現地で一端トラック保存と充電作業が必要になるだろう。

とにかくこう考えると実用上で約10時間程度のバッテリーと考えると、登山におけるGPS連続記録時の時間的な余裕はほとんど無いと云える。
朝8時にGPSでトラック記録を始めると夕方6時にはかなりバッテリーが要注意となってしまう。

何らかの形で状況に遅れが生じた場合、必要とされるギリギリの場面でバッテリーが持たないと言うことになるので、これを防止するためには「昼食時などの大休憩」の時に必ず一度充電しておく必要がある。幸いなことにinstinctは充電が恐ろしくはやい。

バッテリーバーグラフが1メモリの状態から30分も充電すると一気に4メモリ程度まで回復してしまう。なのでたとえ10-15分程度の充電でもかなり回復するので、途中で面倒だが充電しておくと、登山後半に何らかのトラブルがあっても多少の余裕を持って使えるだろう。

いちいち専用の充電ケーブルを持ち運んで時計を外し充電する手間が掛かるが、登山時などではこの作業は必須と思っておいた方が良い。

これがこの時計の唯一にして最大の弱点だと云える。

最後にバッテリー持ちの悪さという事だが、これはあくまで連続でGPS稼働させてトラック記録を行う場合の問題なので、その都度手動でポイントを時計に記録させていく場合、おそろしく優秀な時計となる。このGPS手動ポイント登録機能はほとんどバッテリーを消費しないので、たとえば登山時などはこれだけを頻繁に行っておくだけでもだいたいのルートは推測でき、またポイントに向かってのナビなども容易なので、いざという時に「生きて帰る」為の最低限の機能としてはかなり使えるものである。

またこのポイント機能は専用のガーミン地図アプリでオフライン表示できるので、スマホと連動させて自在に地図上でポイントを確認できると云う優れものである。

しかもだ。

専用のスマホ地図アプリで簡単にルートを作ってその場でinstinctに転送できるので、ポイント登録から推測してだいたいのルートを地図で作ってそれを時計側でトラックバックすれば時計のルート画面を見ながらその方向に帰っていくことが出来る。

ガーミンの凄いところは、今回、このGPSポイント登録機能をかなり重視しているようで、どのモードからでも瞬時にポイント登録出来るようになっていて、それもわずか数秒で緯度と経度と高度を表示することが出来る。

そしてワンタッチで保存可能。

凄すぎる。

地図から緯度と経度さえ分かれば現在地を特定できるという猛者には夢のような機能であり、例えそれが出来ない素人でも専用スマホアプリの地図ですべて登録ポイントが等高線入りの地図表示できるので視覚的にも分かりやすい。

ちょうどgshockのレンジマンのストップウオッチがどのモードからでも瞬時に起動できるのと同じ考えで作られているので、すばらしいとしか言いようが無く、計測精度とスピードも申し分が無い。

正直に申し上げてこれまでのガーミンとは精度と計測スピードが段違いで、この小さな時計が現行の古いハンディタイプを上回る。それどころか最新のforetrex601と精度は同じくらいでGPS位置特定スピードはより早いという恐るべき性能なのである。

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GPSポイント登録記録画面。緯度経度と高度が瞬時に記録され、地図上で確認可能。

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このように定期的にポイント登録することにより、バッテリーを消費せずにおよそのルートを推定できる。もちろんliveトラック対応。


【まとめ】

もはや時計の進化が「時計を超えて生活を記録する」ものとなりつつある中で、カシオの出遅れはもはや決定的だろう。

カシオもセカンドラインのプロトレックを登山用として規定したりしてきたが、ここに来てその時代遅れ感と読み違えは決定的になりつつある。

もはや単なるABC(温度・気圧・方位)計測だけではなく、スマホと連動してGPSを使いこなし、日常では活動量計として睡眠・心拍・歩数・上昇下降回数・ストレス度などを測るのは当たり前になりつつある。

これにはWEBやアプリと連動した大規模な統合システムが必要なのだが、この開発と安定性確保には長い時間が掛かる。

ガーミンは随分前からガーミンコネクトモバイルアプリとして進化させ続けてきたが、ここに来てハードウェアも追いついてきた感がある。

実売3万程度のガーミンのウォッチラインからすればほとんど最低の価格で、ここまで使える時計を出してくるとは思いもしなかった。

特にGPSの精度と使い勝手はほとんど最高のレベルで、文句がない。

更には専用のオフライン地図アプリまで用意する徹底ぶりで、自転車から登山までマルチに使いこなせるだろう。

瞬時にどのモードからでもポイント登録でできる機能は秀逸で圧巻。

この時計はGPSのトラック記録さえしなければバッテリーはかなりもち、時計プラス活動量計としてスマホでは出来ない心拍計測や睡眠計側ができるので日々腕にはめてこそその真価が発揮できる。

朝起きてまず睡眠時間とその質を確認し、そのまま身支度を整えて軽くランニングする。GPSを稼働させれば化なりの正確さでルートとその距離、最大心拍数や歩数を記録する。

そして、自転車で職場に向かうとき、やはりその距離と時間、ケイデンスやスピードもすべて記録してくれる。

そして休日の登山では生きて帰る為のトラックバックによるルートを時計が指し示してくれる。

このinstinctは「買い」だと思う。

出来過ぎた時計である。








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コメント

レンジ男

おお!詳細なレビュー記事お疲れ様です!
兵隊さんもこのテの時計を着けている写真が増えてきてるので有用性はかなりの物なのでしょう。
ただ、充電の事を考えると兵站が異次元の米軍しか無理でしょうかね?
耐衝撃や防水性も気になりますね。
山用だからその辺は大丈夫か!

一発で座標が出るのは本当に素晴らしいです。
私個人はその機能さえあれば他は不要な位です(バッテリー持ちにもなり有利でしょうし)

おっしゃる通りCASIOは意味不明な事をしています。
顕著なのは1つの機種にGPS、スマホリンク、電波と3つの時刻修正機能を搭載しているモデル。
GPSであわせれば世界中どこでも修正可能なのに電波要る?と常々思ってました。(スマホはまぁ他の機能で使えるだろうし)
電波機能を省くだけでもスペースや消費電力をかなり節約出来ると思うのですが、カタログスペックで機能モリモリが好きな日本人向け商売ですかね。

最近は多少学習したのかGPS機能を省いたラインナップがメインになってきてますね、
GPSを時刻修正のみに使う不毛さに消費者もメーカーも気づいたのでしょうか(笑)

luna-luna

Re: タイトルなし
レンジ男様

どもです。
いやー、この時計結構凄いわけですよ。とにかくバッテリー持ちの悪さが問題なんですが、GPSでトラック記録しなければバッテリーは問題にするほどではないです。

ポイント登録するだけなら相当持つでしょうね。余裕で一週間とかそれ以上いけるかもです。

とにかく精度とスピードが半端なく・・・登録したポイント地点をスマホで確認することも出来ますし、時計のみで時系列に並べたポイントを順番にナビしていけば最初の地点に戻れるというわけです。

よく考えられてますね。

残念ですが、カシオはもうダメでしょう。
どんだけ時刻修正したいんだと・・・。

GPSで出遅れるということは自転車やランニングや登山などのスポーツ使用を事実上諦めたという事ですし、かといって活動量計を実装するわけでもなく・・・なおかつスマホアプリもまともに作れないのではもう将来はないも同然です。

日本人向けというよりも、情弱商売(笑)。またなんというか「技術不足」な感じがしますね。
そもそもカシオはBluetoothですらまともに機能していないのですから話しになりませんよね。

その状態でGPSなど扱えるわけがなく・・。厳しいですね。
いま「時計」は間違いなくパラダイムシフトの渦中にあります。カシオは完全に時代に乗り遅れました。

時計が既に「時計機能」だけでは「いらない子」になりつつあるわけで、スマホと共存共栄しないと時計は存在理由を失います。
僕も今回のinstinctの凄さには驚いてしまって・・・レンジマンから切り替えるときが来たと真剣に悩んでいます。

正直、「G-SHOCKに思い入れ」があるので使っていますが、機能だけ見たら、もう必要なしという所まで来ちゃってます。レンジ男様も機会があればこのinstinctはどこかで触って見て欲しいですね。

そうそう、衛星通信システムのinreach miniも時計側で直接コントロール出来るのでプリセットメッセージ送信などもうinreach本体に触る必要もないのですよ。時計から操作してメッセージの一発送信です。

これは売れますよね。








luna-luna

Re: Re: タイトルなし
ああそれから。

これは考え方の問題ですが、時計側でトラックログ取るとスマホの電池は温存できるのですよ。
普通スマホだと機種とバッテリーの劣化具合によりますが、GPS起動させると5-10時間がどの機種でもいいところでしょう。
それでいてスマホを空にした場合、再充電するのにモバイルバッテリーもかなり消費します。

ところがこちらは充電スピードは恐ろしく速く、モバイルバッテリーもほとんど使いません。

そう考えると登山中には時計側でGPS記録を取り、スマホの電池は温存するというのは十分に有りかなと思いますね。
非公開コメント

luna-luna

http://catwalk1101earphone.hatenadiary.jp/
【まとめ】中華イヤホン&ヘッドホンとDAPレビュー辛口オススメ
catwalk1101earphone.hatenadiary.jp
【まとめ】Bluetoothイヤホンとヘッドホン・スピーカーのレビュー
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